小学生の部

優秀賞

ぼくの時間はチャイムと共に
八幡市立美濃山小学校 6年 石田 翔太朗いしだ しょうたろう

 チャイムの音が教室に響く。その瞬間、みんながグラウンドに向かって一目散にバタバタと走っていき、教室の静けさが増す。ぼくの休み時間はここから始まる。
 まず、カバンから図書館で借りた本を取り出し、じっくりと読む。ページをめくる音が心地良い。窓の近くで読んでいると、外からの風でカーテンがふわっと大きくめくれ、頭の上から風が当たる。外からは遊ぶ声が聞こえ、外はギラギラと太陽が輝いていて、時折涼しい風がふく。みんなにとっては絶好の遊び日和びよりだが、ぼくにとっては読書日和だ。二冊目の本を読んでいる途中、
「あと五分でチャイムが鳴ります」
 と放送があった。休み時間の終わりが近づいてきて、もう終わりかと少し悲しくなった。そしてぼくは本をしまった。それからほんの数十秒。遊びに行っていた人達が次々と帰ってきた。みんな汗だくで、「疲れた」と一声。その後、さっきまで机に向かって課題や直しをしていた人たちが、机を片付け、席を立ち始める。片付けの物音や、掃除の準備で、教室の雰囲気がガラッと変わった。そして昼休みの終わりのチャイムが聞こえた。
 およそ二十分。チャイムで始まったぼくの休み時間が、チャイムによって終わりを迎えた。
 ぼくはこの時間を目当てに学校に来ているわけじゃないし、この時間を過ごしたからって、何かがあるわけでもないけれど、この時間を心の中でほんのちょっとだけ待ち望んでいる自分がいる。だからこれからも、ぼくのこのちょっとした休み時間は、読書日和が来るたびに、昼休みのチャイムと共に始まっていくと思う。

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