中学生の部

優秀賞

興味から探求そして守る
豊川市立小坂井中学校 3年 山本 凌司やまもと りょうじ

 一歩足を踏み入れた時、空気や風が変わった。「ようこそ」と優しく包み込まれている気がした。この感覚が僕が神社仏閣ぶっかくに興味を持った瞬間だ。
 最初はただただ雰囲気が好みで行きたいと思っていた。だが、様々な所へ行くうちに、少しずつ色々なことに目が向いた。
 参拝方法の違い、大仏、観音かんのん様、建物の造り、神の違い、由来など気になることが次から次へと出て来て僕の興味はどんどん増えていった。気になれば家で調べる。調べたらもう一度本物を見たくなる。違いを比べたくなるのくり返しだ。パワースポット、運気上昇で神社仏閣は人気だけれど、僕にとっては気分が上がる最高の場所だ。
 その中で神社仏閣が抱える問題も知った。人口減少や都市への人口集中で地方の神社仏閣では跡継ぎ、後継者不足、祭礼を担う地域住民の減少、建物の老朽化ろうきゅうか等、多くの問題がある。国内の神社の数は少しずつ減少している。そんな中で新型コロナでの外出控えで、参拝者の減少や祭礼の中止や縮小がさらに状況悪化を進ませてしまった。実際に僕の住む地域でも縮小しての開催だった。
 こんなに美しい神社仏閣を僕はもっと知ってほしいし、ずっと残っていてほしい。そのためにはどうするべきなのだろうか。何よりも維持するための収入をどうするかが初めの一歩だと思う。今までのような寄付だけでは運営できない。僕なりに少し考えた。
 地域の人達へ境内けいだいを音楽や演舞えんぶの発表の場として貸し出したり、神社仏閣を知るための体験ツアーの企画、期間限定での特別なご朱印やお守りの販売。トレーディングカードみたいに神社カード、お寺カードを全国で協力して作る。こんなことができたら少しでも収入につながり、建物の改修に使うことができるのではないか。
 次に後継者問題への対策だ。昔からお寺の子は将来お坊さんにというイメージがあるけれど、それ以外の人が神職や寺の仕事へ進むイメージがない。それは、正直、どのような仕事内容なのかを知らないから職業選択の候補に入ってこないのだと思う。小中学校のうちにどういう仕事なのかを見ることが大切だ。
 まず神社仏閣へ行かなければ何も始まらない。だから学生向けに一日体験会があってもいい。とにかく身近な存在になるために、子供食堂を月一回くらい開き、子供の集まる場にできたらいいと思う。
 何事も一歩足を出さなければ進んで行かない。大好きな物がずっと同じようにあり続けるためにはたくさんの努力がいる。まず僕ができることの一歩目として、地域の神社の祭礼のお手伝いをすることに参加し、伝統を守る一員となることにした。僕と同じ気持ちの人がもっと増えますようにと願いながら、僕は活動を続ける。

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