小学生の部

佳作

『思い出パン』は特別なパン
八幡市立美濃山小学校 6年 増永 莉乃ますなが りの

 完ぺきな形だ。最高。うれしい。その言葉しか出てこなかった。もう少し良い表現を増やした方が良いな。いや、そこじゃなくって。これまでで一番良い結果になったと思う。うん、ふつうに、食べるのもったいない。食べないともっともったいないんだけど。
 前に、友達のお姉さんに手作りのお菓子をもらった。感動した。なんておいしんだ! そして思った。どうやって作っているのだろう。教えてもらい、何度も失敗して成功させた。私も作れたという喜び。そこからお菓子作りは私を夢中の沼にはまらせていった。無理だ。ぬけ出せなくなってしまった。やめられない。クッキー、マフィン、米粉こめこパン……。
 ある日、母と一緒に米粉パンを作る事に。十分間混ぜることも機械にたよらずに母と交代でがんばった。そのおかげなのだろうか。はっこうさせた後は過去最高の形になった。オーブンで焼き上げている間、とてもソワソワした。きんちょう、そしてワクワク。チーン! 静かな空間を破ったのはオーブンの音。取り出してすぐに母と姉と喜んだ。パンはパン屋に行けばいくらでもあるが、これはどこにも売っていない特別なパンなのだ。そういえばやってしまった。もう今からはしかたないのだが……。友達のお姉さんに写真を送るのを忘れていた。もう食べ終わって、小さなカスしかない。また作ればいいや……。きれいに作れるか分からないけど。
 今思い出すと、私は自信をあたえてもらえた。そう、パンに。売り物に少し近づけたと思う。単純にうれしい。こんな感じに私の得意なことをもっと得意にさせ、もっと自信をつけていきたい。私の脳にやきついた、あの出来事。また作りたいな。失敗するのかもしれないけど。まぁ、やってみるしかないんだから、やってみればいっか。これからも、この『ときめき』を育てていきたい。

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