中学生の部

佳作

高校生のお姉さん
八幡市立男山第二中学校 3年 出口 理律子いでぐち りつこ

 中学三年生はいろんな行事があり、なにかと忙しい。例えば部活動の最後の大会。一年生からの練習の成果を発揮し、皆がそれぞれの思いをかけて一生懸命挑む。それから中学校生活最後の体育大会。青春の一ページになるよう、一年生と二年生と協力して最高の思い出を創り上げる。そして、人生においても大きな行事、「高校受験」だ。
 二年生の頃から、内申点を上げたら受験に有利だと言われたり、授業で進路学習をしたりして、なんとなく「大変そうだなあ」「でもまだ先の話だし」と思っていた。しかし、いざ三年生となってみれば、そんなふわふわした気持ちではいられない。進路希望調査を書かされたり、実力テストがあったりと、考えたくなくても「受験」を意識しなければならない。それに、毎日のように学校で配られる高校のパンフレットが、家の机の上に溜まっていくのを見ると、「ああ、私は受験生なのか」と思う。そんなことを感じながら日々を過ごしていると、六月頃、まわりの友達が「オープンキャンパス」という言葉を口にし始めた。「今度〇〇高校のオープンキャンパス行くねん」やばい、もうそんな時期か。私もそろそろ行かなければ。私はある高校のオープンキャンパスに参加した。
 私はとても不安だった。しかし、その不安はすぐに消え去った。校舎見学の時間、髪を一つに束ねた真面目そうな、その高校の女子生徒の方が、案内をしてくれた。とても明るく聞き取りやすい声だった。そして、質問をされても嫌な顔一つせずに、笑顔で答えていた。素敵な方だなと思った。いつの間にかその女子生徒の方に目を奪われていた。「私もあんな高校生になりたい」と強い思いを抱いて、家へ向かう電車に乗りこんだ。
 これまで、テレビに出ている有名人にあこがれを抱くことはあったが、具体的な自分の理想像を持ったことがない。初めて、なりたい自分を見つけることができた気がする。
 今でもふと、あの女子高校生を思い出す。私は、自分がどんな高校生になるのか楽しみだ。
 大きな行事、「高校受験」のモチベーションとなってくれた彼女に、心の底から感謝している。そして、私は彼女のような人になって、誰かに「あの人みたいになりたい」と思ってもらえるような、一人でも多くの人を変えるきっかけを作れるような人になりたい。

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