小学生の部

佳作

言葉の表と裏
八幡市立南山小学校 6年 宇野うの ひまり

 「はぁ」とみんなに聞こえない音でため息をついた。友達としゃべっている。もちろん楽しい。でも本当はほんの少し、しんどい気がする。私の願いは「人の心を読めるようになりたい」だ。そう思ったのは四年生のある事件が起きてからだ。
 四年生になって間もない頃、友達ともめてしまった。その日は放課後に鬼ごっこをしていた。友達は三人いたから、二対二で楽しくしていた。でも夢中になりすぎて、鬼二人の声が遠くて聞こえなかったことが原因だった。友達は「止まって!」と何回も言っていたのに、聞こえなくて知らなかった私たちに怒ってしまった。そして知らぬ間に帰っていた。
 そこから、ケンカも続き限界だったのだろう。友達が先生に相談したのだ。先生も入っての話し合いになった。仲直りはしたけど、一人は私に少し冷たくなった。私は不登校になりつつあった。その時に、
「人の心が読めたら、ケンカなんて起こらなかったのかな?」
 と思ったら余計に話しにくくなって、せっかく学校に行けたのに話せなくなった。でも、周りの人の支えもあってなんとか話せるようになった。もちろん一ヶ月まともに話せてなかったこともあり、話すペースが落ちてしまった。だけど私にしては大きな進歩だ。人の気持ちを考えるだけでケンカも少なくなった。私の道はどんどん増えてゆく。
 友達としゃべるのは正直こわい。軽い調子でいっただけで相手を傷つける凶器だからだ。言葉には伝えたり、楽しい花を咲かせることだって出来る。でも裏にはこわいことしかない。その言葉と上手に付き合ってゆく。成長した姿を手伝ってくれたみんなに見せたい。

戻る
@無断転載はご遠慮ください。