小学生の部

優秀賞

時間をかけて進む
八幡市立美濃山小学校 6年 片山 蒼かたやま そう

「なんでおれだけ」
 友だちに「お前はしょうらいなにになるの」と聞かれて、いつもぼくは答えられない。まわりはみんな口をそろえて笑顔で「それ」を語る。なんで他の人はいつもすぐに答えられるのだろうか。
 小さなころから「何になりたいの」と聞かれてもぼくはまわりにあわせて言っているだけで何になりたいと強く思ったり願う事はなかった。親にいろんな事をさせてもらっても長くは続かない、いつも失望し自分をたくさん責める。(なんで……)と思う。
 ぼくはすぐににげる情けないやつである。ゴンと物音がすると口にはださないがすごくこわくなる。自分はすぐに(アレがほしい)など努力もせずに願う。しょう来の事もすぐに分からなくなり、不安になり心の中で(バカヤロー)と自分に言い聞かせる。しかし目からはいつも大量の波がおしよせる。なんだか自分はいつもなんでこうなるんだろうとまた心にこうげきする。
 それを何年も続けてきた。ずっと続けてきた。ゆいいつのスイミングだってあきてきた。エジソンの名言で「天才とは1%のひらめきと99%の努力」とあるが、それは信じていない。九年間続けても成長スピードがおそい。それは自分も分かってる。あと何年か続けたらきっと、と思うが、願いはいつもむなしく進まない。
 だけどぼくは最近気づいた。プールでの事、いつもぼくはゆっくり泳がず早く泳いでいた。そこで一回ゆっくり泳ぐ事にし、泳いでいたらコーチに「うまくてキレイ」と言われた。
 結局気づくのがおそかっただけだ。あせらずゆっくりと時間をかけて進めばよかったのだ。これからは、何事にも自分を信じてあせらず進もうと思う。

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