中学生の部

佳作

集落を見つめて
八幡浜市立愛宕中学校 3年 大野 知恵おおの ともえ

「消滅集落」、または「限界集落」をご存じですか?
 消滅集落は、暮らしている住民が転居や死亡などでいなくなってしまった集落です。限界集落とは、人口の半分以上が六十五歳以上の高齢者で、共同生活を維持することが限界に近づきつつある集落のことです。
 現在、地図から消えようとしている地区は、全国に数多くあります。二〇一九年の総務省などによる調査では、「いずれ」または「十年以内」に無居住化の恐れがあると答えた集落は、全国で三一九七箇所もあります。そして、消滅集落は、北陸地方・四国地方に多く、限界集落数では、私の住んでいる愛媛県は、全国七位という上位になっています。
 私は不安になりました。もしこのまま私の地元、「八幡浜市やわたはまし」の人口が減っていき、一万人にも満たなくなってしまったら、いつか消滅してしまうのではないかと考えたからです。
 こう考えてしまったのにも理由があります。現在の八幡浜市の人口が、約三万人しかいないということです。東京都や大阪府のような都会はまだまだ大丈夫でしょうが、私の地元はとても人口が少なく、東京都の一番人口の少ない「市」の、五万人と比べてみても、二万人もの差があるからです。少子高齢化の今、都心に若者たちがどんどん移り住んでいき、このような消滅集落や限界集落が増えてしまったのではないかと考えました。
 消滅集落を減らすためには、限界集落を減らすことが必要です。限界集落の最大の要因は、「農林業や地場産業が切り捨てられたり、生活基盤が破壊されたりして、定住条件が壊されてしまうこと」のようです。まずは、国や自治体が補助金制度を充実させて、移住する人を増やせば、解決の方向に向かうと思います。これらの集落のある山間さんかん地域は、多面的な機能を持っており、国土、環境の維持面でも放置できない問題となっているだけに、早期の解決が望まれます。
 もし自分がこのような集落に移り住むならと考えたとき、二つの改善点を思いつきました。
 一つは「交通面」です。限界集落は山間さんかん地域にあることが多く、市街に比べ、通行路が整備されていない場所もよく見られます。そして、学校や職場から「遠く」なっています。まずは、道路の整備が必要です。
 二つ目は「名前」についてです。言葉には力があります。表記を漢字にするか、ひらがなにするかで印象が大きく変化します。また、市町村名以外に「〇〇の里」と付けているところは、親しみが増すとともに、地域のアピールもされています。住む人がうれしくなる名前を住む人が考えるという取組も有効だと思います。
 このように、自分のこととして考えていくと、必要なことやできそうなことが浮かんできます。多くの問題が次々と出てくる現代社会において、私たち「若者」が貢献できることは何か。一人からでもできることはないか。先を見据みすえ、貢献できることを考えていきたいと思います。

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