中学生の部

優秀賞

心の仮面を取れ
市川学園市川中学校 3年 宮川 万里みやがわ ばんり

 中学生になった頃からだろうか。自分の気持ちや考えをあまり人に言わなくなったのは。
 中学一年生のときは初め、知らない人ばかりでただ友達を作ることに必死だった。一人でいるのが怖かったから自分の意見や考えを言わず、相手の考えに合わせるようにしていた。最初はそれでも上手くやっていけると思っていた。でも少しずつ自分を曲げることがつらくなり、そんな自分が嫌いだった。
 そんな時、一人の友達が他の友達に対して「俺はこうだと思う」と素直に言っているのを見た。そのとき僕は「これは口喧嘩にでもなるかな」と思ったがそんなことは全く起きず、他の友達が「そうかもなー」と言って終わった。
 そのとき僕は人の意見に合わせることは間違いだと気づいた。自分が意見を言って相手がどんな反応をするかは分からない。今まで僕は自分の意見を言えば嫌われると思って勝手に心に仮面をして、自分をいつわっていた。でもそうやって自分の意見を言わなければ、何も変わらず自分が辛いだけで、ただ意見を言う勇気のない人間なだけだ。
 次の日から友達に、自分の意見を少しずつ言うようになった。最初は怖くて言いにくかったが、言ってみて相手が受け入れてくれるということに自信がついた。それからは自分から人に意見を伝えられるようになり、逆に自分に意見を言ってくれるようになった。たまにそれで口喧嘩のようになったりはしたが、結果としてお互いの意見を出しあえて、より良い関係になった。
 今は自分から意見を言えるようになって、とても気持ちがよく毎日が楽しく感じている。心に仮面をしていたときの自分に比べて大きく成長した気がする。また今は、他の意見の言いにくい友達のためにもっと言いやすい場をつくるのも大事だと考えるようになった。
 ここまで変わるのに時間がかかってしまったけれど、今の新しい自分に変われた。だから心に仮面をしていた自分がいたことに後悔はしていないし、むしろ良かったと思っている。あの時の自分があって今の自分がいるし、自分の意見を言えなかったからこそ、言えない人の苦しみがよく分かる。だからこそ、意見が言えず苦しんでいる人たちには勇気を出して変わってほしい。
 人は本当に変わろうとすれば、新しい自分に成長し、変わることができるから。そうやってこれからも僕は、成長していけるよう願っている。

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