小学生の部

優秀賞

仲間
八幡市立美濃山小学校 6年 藤原 桔花ふじわら きっか

 「ドン!!」。前へと伸びた私の手と共に、そんな音が鳴りひびく。何の音か、その正体は私の手のひらとボールがはじき合った音だった。先程の飛び出したボールは白いあみのかべにつかまった。私の心には悔しさの波がおしよせてくる。周りに居た仲間は、「どんまい!!」という声と共に手を差し伸べてくれた。でも、私の心に悔しさは残り続ける。
 私はバレーボールをしている。仲間はすごく上手だ。背中しか追えないあせりに私は飲みこまれている。それはまるで、ドロドロ状の津波のように。飲み込まれ、脱出を急ぐ。
 そんな重苦しい気持ちでも、時間は進み続ける。今週もまた、バレーが始まる。体育館に入ると同時に後ろから波の気配を感じる。今日も必死ににげていた。そして先週ミスしたサーブが来た。プレッシャーやこわさの手ぶくろが、私の手をおおう。
 そんな時だった。後ろの津波が消えたのだ。いや、そんな気がしただけだったのかもしれない。でも確かに私は楽になれた。「ファイト!!」。私の心にたてが届いた。そのたてに続いて沢山のたてが私を守ってくれている。仲間の声が私を守ってくれていたのだ。
 再び手を見ると先程とは段ちがいに軽く感じた。私は手をつきあげ、ボールを投げ、たてに勇気付けられるように、その手をふりかぶった。「ドン!!」。前とはちがった。体育館に鳴りひびくその音は、どこかきれいに感じた。私達が目で追ったそのボールはきれいにコートに落ちていった。「ヤッタァ!!」。私のその喜びの声は体育館にひびきわたったのだ。
 その日からも焦りはあった。でも、仲間との“つながり”が私を守ってくれている。私はこの日、仲間の大切さ、ありがたさ、気付かされたような、そんな気がした。

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