学校の夏休みの宿題で「八幡の郷土料理」について調べるという宿題があった。私は、小学五年生の時に東京から八幡市へ転校して来た。その為、八幡の郷土料理といわれてもピンと来ず、初めは全く思い浮かばなかった。郷土料理とは、小さいときから自宅でおばあちゃんが作る料理というイメージがあった。だが、私の家にはおばあちゃんがいないので、郷土料理など食べたことないだろうと思い、インターネットで調べてみたところいくつかの料理が出てきた。
ういろうの上に甘く煮た小豆をのせてある水無月という和菓子。これは、前年六月に母が買ってきてくれていた。甘い物に目がない私の家族は、黒糖味や抹茶味の水無月を食べ比べをして楽しんだ。こしあんを羽二重餅
で包んだしずく型の走井餅は石清水八幡宮へ初詣に行った際、お土産に買っていた。今まで郷土料理だとは思っていなかったが、意外に食べたことのあるものばかりだった。
だが、途中であることに気付いた。「郷土料理とはその地域に根付いた農産物を使い、その地域独自の調理方法で作られた、地域で広く伝承されている料理」とあった。水無月や走井餅は八幡の郷土料理ではないではないか。そもそも、八幡市に根付いた特産物など使っていない。もう一度、郷土料理について調べてみる。あった、八幡巻きだ。
八幡巻きとは、八幡の特産であるごぼうを軸としてウナギやドジョウを巻きつけ煮るか焼き上げる料理だ。もとは、石清水八幡宮の放生会の行事があった際に、本来川魚を殺してはいけない時期に川魚が食べられるように、ごぼうで巻き隠して食べていたのが始まりだという。現在では牛肉や鶏肉を使うアレンジしたレシピも載っていた。
ふと、八幡巻きの写真を見ていて思い出した。食べたことがある。毎年、お正月のおせち料理の中に入っていたあの料理。あれが八幡巻きだったのだ。驚いた。まさか八幡市とは遠く離れたところで、ずっと前から食べていた物が八幡発祥の八幡の郷土料理だったとは。八幡巻きではない全く別のものではないかと思い、もう一度調べてみた。だが、やっぱりそれは八幡巻きだった。
私は今回、発見したことが一つある。それは、本当に身近なことでも自分が思いがけないかたちで結びついていることがあることだ。まわりを探してみるだけで、たくさんの結び付きが見つかるのかもしれない。色んなつながりが今の私達をつくっている。私は今回、意外な結び付きをみつけられたことで、少し嬉しくなった。