小学生の部

大賞

限界なんてないんだ
横浜市立青葉台小学校 6年 内田 博仁うちだ はくと

 僕は重度の自閉症じへいしょうです。言葉を全く発する事が出来ません。言葉が話せない経験をした事がありますか? 色々、いやほとんど理解しているのに言葉が話せないだけで、何も分かってない知性もないと思われてしまうその苦しみや悔しさを想像した事がありますか? 僕はずっと、自分のような人から見たらバカで変な子にしか見えない人間は、一生おとなしく大人の言うことをきいて生きていくしかないのだと思っていました。
 人は自分が人の役に立てる、そんな時に生きている喜びを感じられるのではないでしょうか? 僕も人の役に立てる存在になりたい、僕にはそんな目標が持てるようになった変化の瞬間がありました。きっかけは何も話せない僕に、「この子は全部理解はしてるよ」と母に言ってくださった、ある先生の一言でした。
 先生は僕に電子手帳を差し出し、「何か打ってごらん」と言いました。その瞬間僕は生まれて初めて言葉を発したのでした。「UCHIDA HAKUTO」と。六歳の時の事でした。そこから僕の人生は変わりました。僕は毎日文字を打つ練習をしました。一年ぐらいは単語しか打てませんでしたが、僕は毎日かかさず文字を打ち続けました。
 何も出来ない何も分かってないと思われてる僕でしたが、僕は僕の人生を豊かで幸せにものにするんだという思いや強い信念がありました。毎日自分を奮い立たせる事は時に自分との戦いでした。毎日必ず感じた事を打つ、それを電子手帳に保存する、その繰り返しを毎日やり続けとうとう文章が書けるようにまでなりました。
 小学校の二分の一成人式で僕は皆の前で打ちました。「夢は小説家」と。「君には無理だ」「僕には無理だ」と限界を決めてしまうのは簡単です。でも信じてくれる人がいたら、自分は出来ると信じられたら、その瞬間から人生は変わるのです。僕のような人間でも少しでも人の役に立てる、夢だって持てる、いつだって自分の人生は変えられるんだと確信しましたし、それを伝えていきたいのです。

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