中学生の部

佳作

新たな気づき
同志社中学校 2年 岸 智菜きし さとな

 新型コロナウイルス新規感染者○人。毎日この言葉を聞いている気がした。
 去年の二月、私はもうすぐ始まる新学年への期待に胸をふくらませ、一年生の仲間との日々を惜しみながら毎日を過ごしていた。二年生になったらどんな楽しいことや大変なことが待っているのだろう。そんなワクワクとドキドキは得体の知れないウイルスに飲み込まれてしまった。突然世界が、日本が、私達の生活が、がらりと変わった。でも、変わらないものがあった。友達、そして家族だ。
 一年生の生活を残して、学校が休校になった。再開されないまま時は過ぎ、いつの間にか進級していた。それでも、学校には行けなかった。この時、友達がどれほど私にとって大事な存在であったかに気付かされた。一緒にしゃべったり、勉強をしたり。そんな学校生活がとっても楽しかった。何気ないことだけど、会えなくなって分かった。友達の力ってすごいな。
 六月になり、やっと分散登校が始まった。でも友達とは一週間に二〜三回しか一緒に過ごせなかった。私はこんなにも長く自粛生活が続くとは思ってもいなかった。学校行事も中止ばかり。夏のキャンプは入学する前からずっと楽しみにしていた。クラブも、委員会も始まらなかった。去年は委員になれなかったから今年は頑張ろうと思っていたのに。そんないつもと違う学校生活でも今は友達に会えるようになったので楽しい。長い休みがあっても、友達は友達のまま。変わらない笑顔を見せてくれた。
 寂しい思いをしている時、私には支えてくれた人たちがいた。家族だ。春休みや夏休み、大きな旅行に行けなかった。私は悲しくてたまらなかった。コロナウイルスさえ流行しなければこんなことにならなかったのに。怒りも心の奥にあった。
 そんな私を思い、可能な範囲で遊びに行く計画を立ててくれたり、楽しめるような工夫をいっぱいしてくれた。うれしかった。
 家族と過ごす時間が増え、この生活の時だけでなく普段も私のことをとっても大事に思ってくれていると改めて知った。厳しい時もあるが、それも全て私のためになんだと思った。優しくて、時には厳しい家族に守られて私は毎日安心して過ごしている。家族も自粛生活で辛い思いをしているはずなのに、いつでも私のことを思ってくれる。家族ってあったかい。
 今は、制限がある中でも楽しみを見つけ、一生懸命過ごしている。コロナウイルスがなければ何も気付いていなかっただろう。流行してほしくなかったが、私を守ってくれる人が沢山いることに気付いた。
 予想もしていなかった事態に、誰もが不安を覚えたと思う。当たり前だった生活が大きく変化してしまった。そんな時でも友達の頼もしさ、家族の思いやり、安心できる強さは変わらなかった。
 この時代を乗り越えていこうと思う。みんな、ありがとう。一緒に頑張っていこうね。

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