ぼくは、教室は間違えてはいけない場所だと思っていた。しかし、その思い方を変えたのが、『教室はまちがうところだ』という本だ。五年になってから、先生に読んでもらったのがきっかけだ。
五年までの時は、まちがえそうな問題は手を上げなかったぼくが、今では、むずかしい問題でも手を上げるようになった。その本がなければ、今でも手を上げなかったかもしれない。その本こそ、ぼくに必要だったかもしれない。
さらに、「失敗を恐れちゃいけない」と書いてあって、なんでもちょう戦する気持ちもわいてきて、ちょう戦をしている。それに、もしまちがえても、みんながその答えをなおしてくれる。だから、手を上げる。逆に、友達がまちがえると、なおしてあげる。そのくり返しで、教室ができる。しかし、たまには笑う人がいる。その本には、
「人の失敗を笑っちゃいけない」とかいてあった。それで、笑う人はいなくなった。
この本を聞き、クラスは変わった。みんながやさしかったのが、もっとやさしくなった。知らないことを、「教えてもらう部屋」だから「教室」と書く。だから間違うことは、恥ずかしくない。恥ずかしいと思い、間違うことをおそれていてはぼくは成長できないと思う。成長できないことを恥ずかしいと思うようにした。
これから六年生になり、中学生になる。五年生の今のぼくよりも成長できるように、むずかしい問題にも手を上げてちょう戦していける自分になる。お父さんもお母さんも先生も、みんなさいしょは子供で知らないことがたくさんあって、「学校」の、「教室」で勉強したんだと思う。間違って、友だちに教えたり、教えられたりして「大人」になったのだと思う。いつかぼくが成長して「大人」になったら、今度はぼくが「子供」たちに教えてあげる番だ。