広島地方では、お盆になるとお墓の周りに盆灯籠を飾る。赤、青、黄のカラフルな灯籠がたくさん飾られてとても華やかになるが、初盆を迎えたところだけは、白一色の灯籠が飾られる。
ぼくは、去年の秋におばあちゃんを亡くした。毎年夏休みには帰省をして、カラフルな灯籠を持って一緒にお墓参りに行っていたが、今年はそれまでと違っておばあちゃんがいなくて、白い灯籠を持っていった。周りはほとんどがカラフルな灯籠なので、白一色の灯籠は逆に目立った。
これまで二種類の灯籠があるのは知っていたけど、なぜ初盆の時だけ白色なのか、ふと疑問に思った。もしかすると身近な人をなくしてからあまり時間が経っていない家はまだ悲しみが続いていて、カラフルな灯籠を飾る気分ではないからなのかなと考えてみたりしたが、やっぱり気になって調べてみた。
お盆というのは、亡くなった家族やご先祖様がこの世に帰ってきて一緒に過ごすと言われているため、古くから先祖供養の時期とされている。特に四十九日の法要が済んでから初めて迎えるお盆を初盆といい、白の灯籠が用意されるそうだ。もともと、盆灯籠はご先祖様がこの世に帰ってくるための目印になるものだが、初盆の場合故人は初めてこの世に帰ってくるため、途中で迷う事なく無事たどり着くことができる様にわかりやすい無地の白灯籠を飾るらしい。これはこの夏休みの僕の新しい発見だった。
僕が立てたあの白い灯籠を目印に、おばあちゃんは無事この世にたどり着けただろうか。来年は、道を覚えて白い灯籠がなくてもちゃんと帰って来れるだろうか。来年もまた会いに行くよ。