私は、またクイズを出した。
今私は小学三年生。小学校生活にも慣れてきて、とても楽しく過ごしている。私には一人、弟がいる。弟は五歳、まだ年中さんだ。
と、今は夜ご飯、家族の大切な楽しい時間だ。みんなで会話をしようとしている中、私は陽気にクイズを出し続けている。
「ぼうが五本ある野菜ってなーんだ?」
父と母はやれやれ、という風に顔を見合わせている。それに構わず、私はニコニコ笑顔で答えを待っている。すると、弟が、
「りんご!」
と言った。私はすぐに反応し、即座に、
「ブー」
と言ったら、すぐ弟は、
「リンリンなるぼうがごほんあるんだよ!」
と私に説明した。私は“ごぼう”しか頭になかったので、それ以外の解答は絶対に肯定しない……。
「おい!」
……ん、ん。
「ねぇ、聞いてるの!?」
弟の声だ。そうだ、私は中学一年生、弟は小学三年生。すっかり昔の気分になっていた。
(……て、今は何をしていたんだっけ)
すると、弟の声が頭の中に響いた。
「早く答えてよ! ぼうが五本ある野菜は?」
そう、私は夕食中、弟にクイズを出されていたのだ。仕方なく私は、目をこすりながら、
「ごぼうでしょ、ごぼう」
と答えると、弟がすぐ反応し、即座に、
「ブー、答えはりんごでしたー」
と言った。
「もう、ごぼうでも良いじゃん。本当にもうつまらないクイズ出すのとかやめて」
私が小学三年生のとき、唯一の楽しみは、クイズの出し合いだった。それを自分で分かっていても、ムキになって弟に言ってしまった。
弟はうなだれたが、すぐ父や母に問題を出し始めていた。そういえば、私が小学三年生だった頃はどうだったか。
「りんごでも正解だよね!」
弟が私に攻めよるも、私は堅く動じない。
「もういいもん!」
弟はごちそうさま、と一言置いてから食器を片付けていた。
そのような感じだったかと、ふいに私は思った。もしかして、私と弟って、似てる? と。
私はやはり兄弟は似るものなのだな、と改めて実感した。怒るタイミングも一緒。イタズラしようと思っていることも一緒。やろうとしていること、お互いが通ってきた道も似ているなと思った。
弟のクイズが好きな時期もこの私のように無くなってしまうのだと考えると、少し切なく思えた。その時その時の行動や考え方を尊重し、より充実した日々を送りたい。
弟は、またクイズを出した。