「本部になってくれる人いませんか?」
教室のすみからすみへとその声がひびきわたる。これは私が、五年生の頃に体験したものだ。一クラス一人、本部になる人を決めなければならない。しかし、誰も立候補しない。誰がなるの?というふうに、みんなの無言の空気が言っていた。私はその時、やってみようかなと思って手を挙げようとした。が、心臓が今にも飛び出しそうな勢いでドクドクと脈打つ。結局手を挙げることができず、クラス推せんになってしまった。ところがまさかまさかの私が選ばれた。私はとてもおどろいたが、それ以上に不安がのしかかってきた。立候補さえ怖くてできないほどの私が本部として務まるのだろうか。私はそう思っていた。その時だ。ふとある人のことが頭をよぎった。それは姉だ。姉は昔、本部で会長を経験している。私は姉の姿に負けてはいられないと思い、本部でやっていくことを決意した。
初めての本部としての委員会。副議長になったからには頑張ろうと張り切っていたが、代表委員の人の名前を覚えるのに大苦戦。それでも当時六年生だった本部の人に名前を教えてもらいながらなんとか無事に委員会を乗り切った。この初回の委員会は会としてしっかりと成り立っていたので、姉がまとめていた委員会には勝たずとも負けてはいなかったと強く思った。また先生の雰囲気や役員の優しさに触れ、続く児童集会でもやりがいを感じていった。
より良い学校を目指していく中で、日々困難なことも本部、代表委員、先生たちと乗り越えてきた。それは私にとって大きな誇りだ。また、本部の楽しさを教えてくれたみんなのおかげで、人前に立つことにひるまなくなった。私は本部を経験して新しい自分の世界へ旅立つことができた。これからも新しい自分をめがけて、旅立っていきたいと強く思う。