小学生の部

佳作

小さなあくま
八幡市立橋本はしもと小学校 5年 芝田 武鷺しばた たける

 「なにするんだ!!」。夜の電車に乗っていた時にいきなりゆれて50代くらいの働きづかれた人の足をふんづけてしまった。その後にぼくはこわくて「すいません」とすこし小さな声で言ってにげるようにとなりの車両に移ってしまった。
 移った後にそのことを考えた。その時どうすれば良かったかを考えた。本当はいつも通りの声であやまっておけばとも思った。けどできなかった。自分の中の小さなあくまが大きくなっていって、もう一度あやまろうと思った心が小さくなった。その人は電車をおりていった。そのあとでとてもこうかいした。なぜ自分はすぐにもう一度あやまれなかったか、どうしてその人の足をふんでしまったか。それは自分の心が弱く、もろかったからだと思う。もう二度とその人とは会えないので、こんどはすぐにあやまろう。
 それから何日かたったある日、またぼくは電車に乗った。その時は昼でとても混んでいた。ある親子が自分の前を歩いていた時いちばんうしろで歩いていた男の子が自分の足をふんだ。その子がわざとしたことではないと知っていたのでイラッとしなかったが、男の子はおろおろして「ごめんなさい」と言った。その子の母親はすすんでいって気づいていなかった。なので、「いいよ。気にしなくてもいいから」と言った。その子はたてにうなずいて母親へ走っていった。
 ぼくは足をふんでしまった人にあやまれないけれど、そのことをかてに生きていこうと思う。

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