中学生の部

佳作

あぶく銭の旅立ち
八幡市立男山東おとこやまひがし中学校 1年 佐藤 衣毬さとう いまり

 私はこの夏、旅行で石川県を訪れた。和倉温泉という温泉街に一泊し、金沢市内でもう一泊した。一日目に宿泊した和倉温泉ではその日、お祭りがあった。射的などのゲームや竹馬が借りられるコーナー、抽選もあった。抽選は一等から三等までありいちばん下の三等から順に発表されていった。私の番号は、ちの一三六七だった。
 最後に一等が発表されていく。
「ちくわのち!」
 ここで母が自分の券を見た。
「一、三、六!」
 母があっ! という顔をした。母は一三六五。
「七!」
 母は残念そうな顔をした。二つ違いだ。
「あ、おしい! ドンマイ」
 私はそう言って、自分の券を見た。
 まず自分の目を疑った。次に、自分の耳も疑った。もう一度番号が読み上げられ私は、「当たった……」 と言った。家族は大爆笑していた。もう一度「当たった!」と言った。まさか当たろうとは……!
 賞品は和倉温泉で使える五千円分の賞品券だった。ただ、旅館の売店では使えないようだったので、千円分でコンビニでドリンク類を買い、あとの四千円はガソリンスタンドで使って車の燃料として燃やした。あぶく銭はあっという間に旅立っていってしまった。でも、今回の旅行のいちばんの思い出として一生残っていくんだろうな……と感じた。会場にいた他の参加者から見ると『沢山の受賞者の中のひとり』かも知れないが、これは私から見るととても大きなことであった。
 石川県で過ごす最後の日、父は自販機でドリンクを買った。その自販機はドリンクを買うと自動的にルーレットが始まり、ゾロ目が出ると好きなドリンクが一本もらえるようだった。そんな事を知らなかった私達は、いきなり動き出した画面を見て、
「何これ? こわれた? なんで?」
 と思っていた。数字は、七七七七。
「何で? 万札入れたのかな? でもおつり取ったで?こわれたのかな?」
 と思っていると、不意に兄が、
「ゾロ目だ」
 と言い、ボタンを押した。ドリンクが出て来た。おつりだったのかな? と思っていた私は勝手に買っちゃった、あ~あ、と思っていた。兄から説明を受けた私は思った。
「ゾロ目でしかも、ラッキィセブンってすごい!」
 今回、特別で、ラッキィなことを色々体験したけれど、日常を楽しく過ごすためには特別なことだけでなく、日常も大切にしないといけないと感じた。特別なことは本当にたまにしかないけれど日常は常にあるものだから。私はこれから日常を大切にしていきたい。

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