小学生の部

佳作

中学年で泣いていた自分
八幡市立中央ちゅうおう小学校 6年 財部 紗代たからべ さよ

「泣いていても授業は進まないよ」
 当時、三年生だった私は、泣き虫だった。
 三年生の進級式。体育館で担任の先生の発表があった。こわそうだけれど優しそうな先生。これが私の第一印象。
 二、三日経つと、本格的に国語や算数の授業が始まるようになった。授業中にできないことがあるとよく泣いていた。泣いて、泣いて、泣き続けて、気が付けば十分以上泣き続けてしまう時もあった。特に、私が苦手だった算数の時間によく泣いていた。計算問題が全然できなくて、どうしたらいいかわからなくなって泣いていた。こんな私に先生は、諦めずに、何度も何度も優しく教えてくれた。優しく声をかけてくれた。その中で、一番心に響いた言葉が、「泣いていても授業は進まないよ」だった。泣きながら聞いていた。机にふせながら聞いていた。
 それからの私は、できないことがあっても泣かずにがんばるようにした。泣かずにがんばると、すこしずつできることが増えていった。算数の計算問題もできるようになっていった。できない問題ができるようになった時の喜びは、とても大きなものだと知った。
 四年生、五年生、そして六年生。できることが増えてきた私は、自信がもてるようになってきた。先生と出会えたこと、あの言葉に出会えたことは私を成長させる手助けとなった。
 もし今、三年生の自分に会って声をかけるなら、こんな言葉をかけようと思う。
「大丈夫だよ。きっと、泣きやんで前を向いたら楽しく勉強ができるよ。まずは、みんなみたいに顔をあげてやってみようよ」

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