おれは将来大工さんになる。なりたい……。これはおれの夢だ。新しい家に住みたい人たちに安心して帰れる家というものを建ててあげたい。え? これが何の出会いに関係してるかだって? おれにこの夢をさずけてくれた人との出会いである。
幼稚園の時、おれはバスで幼稚園に通っていた。このバスの運転手のおっちゃんが夢をさずけてくれたんだ。どういうことかというと……。おっちゃんはいろんな事をしていた。げんかんのクリスマスツリーの用意やトイレの修理……。
そんなある日、おっちゃんをろう下で見かけた。何かな? とついていくと、遊具の修理だった。高いところに次から次へ乗り移り、ヘルメットをかぶり、用具をこしに……。一瞬にして心をうばわれ、くぎづけになった。この時大工さんという雄姿に出会い志すこととなった。あの日からおれは「何のために勉強するの?」ときかれる度に「大工さんになるために!」と答えている。これがおれの出会いである。いまだにおれの中で大工さんという夢はキラキラと輝いている。
そして今……。大工さんになるために、いやなことも我まんして取りくんでいる。その出会いのおかげで今やるべきことが、見えている。大工さんになるためにおれは、中学・高校・大学にいって夢をかなえる。そして、新しい家を探しにくる一人暮らし、夫婦、家族、おじいちゃんやおばあちゃんのような年をとった人たちに安心して帰れる家を造ってあげるんだ。