中学生の部

佳作

旅立ちの日の母
八幡市立男山おとこやま第三中学校 2年 森田 来実もりた くるみ

 卒業式は笑顔で終えよう。小学六年生になって、あともう少しで卒業だと思った私は、こう決めた。泣いて小学校を終えるよりも、笑って良い思い出を作って卒業式は最高の日にしたい。そんなこだわりがあった。
 卒業式の日、 そのこだわりを持って、 緊張しながら体育館へ向かった。 卒業証書をもらって、 歌を歌うまでは平常心だった。 このままなら、 笑って卒業式を終えられる。
 しかし、この予想は大きくはずれることとなった。歌を歌い始めて少しした時、友達のお母さんの姿が目に入った。その人は目を真っ赤にして泣いていた。その姿を見た瞬間、私は泣いてしまうと思い、目をそらした。そのまま歌い終わった私だったが、その後もあの友達のお母さんの姿が頭から離れなかった。
 ついに卒業式も終わりに近づき、卒業生が退場する時間となった。歩いていた時、ふと母の姿が目に入った。
さっきの友達のお母さんよりもずっと目を赤くして涙を流していた。そして、私の姿を見つけた母は、優しくほほえんだ。母の顔を見た私の涙腺るいせんは崩壊した。体育館を出て私は泣いた。泣いても泣いても涙は止まらず、次から次へとあふれ出てきた。
 卒業式を笑って終えるのは難しい気がする。そして、泣くのは間違っていない。よく、卒業式で泣くのはいやだと言う人がいる。でも、思い出がたくさん詰まった小学校を涙で締めくくるのは、悪くない。いや、むしろ泣いた方が思い出になって良いかもしれない。
 あの卒業式から二年がたった。しかし、今でもあの時のことは鮮明に覚えている。こんなに覚えているのは泣いたからだと思う。笑って終えていたら、こんなに記憶に残らない。卒業式を思い出したら、泣けてくる。そして、あの時の母の姿がはっきりと頭の中に浮かんでくる。卒業式の時の母の姿からは私を応援してくれている気持ちがあふれ出ていた。こんなに私のことを考えてくれていたのだと考えると、もっと涙がこみ上げてくる。これからも私はあの時の母の姿を忘れないだろう。


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