中学生の部

佳作

灰の町
八幡市立男山おとこやま中学校 3年 千綿 朋之ちわた ともゆき

 七月に初めて、鹿児島に母と旅行に行きました。目的は、今年の四月から単身赴任になった父に、会いに行くためです。本当は、あまり行きたくありませんでした。なぜなら、父に少し会いたくないという気持ちがあったからです。父のことを嫌いというわけではありませんが、わざわざ鹿児島まで行かなくてもいいと思っていました。五月のゴールデンウィークにも帰ってきたし、八月のお盆にも帰ってくると知っていたからです。
 しかし、母はしつこく、「行こう」「行こう」と何度も誘ってきました。僕は「行かない」と何度も断りましたが、母が、「鹿児島に行けば、おいしい黒豚が食べれるよ」「おいしいさつまあげも食べれるよ」「超有名なかき氷のしろくまも食べれるよ」「西郷せごどんの記念館にも行こうよ」と本当にしつこく、行くと言うまで誘ってきました。僕は、黒豚を食べるために、渋々行くことにしました。
 鹿児島へは、新幹線で四時間かかります。
 鹿児島で一番印象に残ったものは、黒豚でもなく、さつまあげでもなく、しろくまでもなく、西郷せごどんでもありません。一番印象に残ったものは、辺り一面の火山灰でした。アスファルトの地面に火山灰が降り積もっていました。車も火山灰まみれです。道路を歩いているときに、バスや車が通ると火山灰が巻き上げられ、目が痛く、のども痛いです。街中を清掃車が掃除をしてくれていますが、噴火が起こるたび、火山灰は降ってくるのでキリがありません。洗濯物を外に干すこともできないそうです。
 鹿児島では噴火が起こっているのは知っていましたが、火山灰の中で鹿児島市内でも生活しているということを知りませんでした。天気予報と合わせて火山灰がどのくらい降るのかという降灰予報も発表されるそうです。
 九州旅行、鹿児島旅行と聞けば、良いイメージしかありませんでしたが、まさかの灰まみれの場所でした。
 母にしつこく誘われなければ、知らない世界でした。今回、鹿児島という町に、行けたことで鹿児島のことを知ることができました。そして、僕の町は平和だと思いました。
 単身赴任の父はこれからも灰まみれの中で生活をしなくてはいけない。母や僕のために大変な場所で働いていると思うと、感謝しないといけないなと思います。
 父には、面と向かって、感謝しているとは言えませんが、陰ながらありがとうと思っています。


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