中学生の部

優秀賞

くもと私とじいちゃん
八幡市立男山東おとこやまひがし中学校 2年 北村 千夏きたむら ちなつ

 どうしよう。上を見上げたら白い雲がない。いつもの白いくもが見あたらない。ずーっとずっとむこうまで青一色だ……。世界中、どこを探しても今、雲なんて一つもないのではないだろうか。そう思うほどの快晴だ。

 私は、小学一年生の頃絵本が大好きだった。周りの子に比べて、図書室に行く回数はすごく多くたくさんの本を読んでいた。その中でも、お気に入りは、もう、題名すら忘れてしまった本。内容は、女の子が色んな雲を見てあれはパンのくも、あっちは鉛筆のくも、などと、空に浮かぶ雲の形で遊ぶものだった。初めてその本を読んだのは祖父の家だった。じいちゃんっ子だった私は、その絵本を読んでもらって近くの公園まで祖父と一緒に出かけた。ブランコに乗りながら、二人でさっきの本みたいにいろんなくもを探してみることになった。初めて見つけたのは、あの女の子と同じパンのくもだった。ただの丸いくもを見て、私たちはメロンパンかクリームパンで悩んだ。結局、クリームパンになったのだが、その後いろんなくもを見つけた。その日から祖父の家に行くと恒例行事になっていた。すごく楽しい時間をくれたあの絵本も祖父も大好きだった。
 大好きだった祖父が亡くなった。まだ幼くて何も分かっていない私は、ただただ祖父がいなくなってしまったことが悲しくてしょうがなかった。それは、もう二人でブランコに乗っていろんな雲を見つけることはできなくなってしまったと幼いなりに理解したからだろう。その日、空を見たら晴れていた。何かの形ではなかったが、大きな入道雲が目に入った。
 それから私の大好きなものに、入道雲が加わった。今でも、入道雲を見ると楽しい思い出が浮かび上がってくる。私が、暇になるとつい、空を見上げてしまうのは祖父のせいだ。でも、私が本を好きになったきっかけも祖父だ。出かけるのが好きになったのも祖父のおかげだ。祖父は私に色んな出会いをくれた。私も、そんなことをしてみたい。誰かに何かと出会わせてあげられるような人になりたい。


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